頑張る人の物語

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第2回 『アフガンプロジェクトとは

 約束の時間に 5 分遅れて、藤野はやってきた。多少の遅刻を詫びた後、簡単に自己紹介をしてくれた。慶応大学1年生とのことだ。飄々としていて、常に笑顔をたやさない。

 こちらも自己紹介をした後、藤野がやろうとしている企画についての説明を受けた。

 前述したように、藤野と会う前までこの企画に関して僕はあまり積極的でなかった。否定的という言葉の方が適切かもしれない。ある程度話を聞いた中で、当初感じていた問題意識、すなわち“もっと他にやるべきことがあるのではないか”ということを言おうと思っていた。

 藤野が話を始めて 10 分後、僕はこの考えを完全に捨てていた。そして、藤野の企画に対して否定的な考えを持ってしまっていた自分に対して強い反省の念を抱いた。

 藤野は教えてくれた。アフガニスタンの人々がサッカーをとても愛していることを。そして、タリバン政権下においてサッカーが禁じられていたこと(この点について、多少の事実の誤りがあることに藤野自身が後になって気づく。詳しくは後述)、そしてタリバン政権が崩壊した後にアフガニスタンの子供たちがサッカーを心の底から楽しんで遊んでいることを。

 そして考えた。実際にW杯をアフガニスタンに届けた際に彼らが得る楽しさの大きさを。そして、他の援助物資による支援ではなく、内発的な喜び・楽しさを得て何か新しい事を自らの手でやっていこうとするアフガニスタンの人達の顔が脳裏によぎった。

 『W杯をアフガニスタンに届ける』といっても分かりにくいだろうから、ここで藤野がやろうとしているアフガンプロジェクトの概要をまとめておく。主な活動は4つある。

 一つ目がアフガニスタンの首都カブール市内にW杯放映機材(TV・パラボナアンテナなど)を設置し、映像をみること。二つ目がアフガニスタンおよび世界各地の子供たちにサッカーボールを 2002 個送ること。三つ目がカブールのオリンピックスタジアムで現地のクラブチームのサッカー大会をW杯と並行して開催すること、また、日本でも横浜においてフットサルの大会を別に開催すること。四つ目がオリンピックスタジアムで子供たちのためのサッカー大会を開催することだ。

 藤野が話を進める中で僕は非常にこの活動に興味を持った。また、この活動が成功すれば、国連や他のNGOが支援しているのとはまた違ったやり方で、また違った意味で意義がある活動なのではないかと信じていた。

 そうしたこともあり、僕は藤野に尋ねてみた。なぜ、このような企画を始めようと思いたったのかと。

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