頑張る人の物語

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第3回 『 9.11

 きっかけは 9.11 のテロだったそうだ。藤野は当時の年齢で 20 歳。まだ若いので人生において経験する“事件”の数はそこまで多くなかった。しかし、 20 年生きてきた中で藤野は歴史を学ぶ機会があった。歴史を通じて“事件”に触れる機会は多々あった。世の中には様々な“事件”があり、それが社会を動かしてきて、歴史をつくってきた事を彼は感じていた。

 しかし、今その“事件”が彼の目の前(もちろん、テレビを通じてであるが)起きたのだ。世界貿易センタービルに2機の飛行機が突っ込んでいくシーン、藤野は何度もその場面を見直した。また、その後のニュース放送を聞いていく中である事実を知った。

 その事実とはニュースの報道で知ったのではない。ニュースを見聞きする中で、彼自身が自らの中で発見した事実だった。   それは、様々なものが今まで隠されてきたという事実だった。経済格差、飢餓、政治的抑圧など目には見えてこなかっただけ、あるいは見えてきてはいたがその深刻さをそこまで痛感する事はなかっただけかもしれないが、確実に存在する事実が今まではしっかりと報道されてこなかった。 

 これらが 9.11 のテロによって明るみになった。そして、藤野は考えるようになった。思い描くようになった。自分とは違う環境にいて、日々が生死の境目をさまよっている人たちのことを。

2001 年 10 月、アメリカがアフガニスタンへの空爆を本格的に始めたころだった。あるフォトジャーナリストがNews23に出演していた。その人は長倉洋海という人でアフガニスタンからの中継で現地レポートをしていた。

 藤野はこのレポートを見ながら、この人を知っていることに気づいていた。前年 9 月、藤野が浪人時代にたまたま予備校の授業をさぼって本屋に行ったとき、長倉の「フォトジャーナリストの眼」という本を手にとって読んでいたのだ。当時、仲が良かった友達と喧嘩をし、授業をさぼった。しかし、さぼったことへの後ろめたさがあり、せめて世界史関係の本でも読もうと思って手にとったのがこの本だった。内容がとても面白く、新宿高島屋の屋上で一気に読んだのを覚えていたのだ。 

本棚から本を探し出し、自分が感銘を受けた本の筆者と先程テレビに出ていた人が同一人物であることを確認した藤野は早速この写真家の事をインターネットで検索した。すると、 11 月に長倉の講演会があることが分かり、これは行かなくてはいけないと決意した。

 

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