頑張る人の物語

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第5回 『 高まる問題意識

 しばらく、アフガニスタンのこと、長倉のことを考えて日々を過ごしていた中、藤野はNHKの番組でフランスのジャーナリストが伝えたタリバン政権下で何が行われていたかを伝える映像をみた。

 その映像では、オリンピックスタジアムで処刑が行われるシーンを映し出していた。昔はサッカーが活発に行われていたが、タリバン政権下においてここはサッカー場として利用できなくなっていた。代わりに公開処刑などが行われていたのだ。

 映像ではゴールポストに女性 3 人が吊り下げられ、次から次へ射殺されていくシーンが映し出されていた。

 しばらく、藤野はベッドに横たわりながら考えていた。そして責めていた。タリバンの非道さをではない。藤野は自分自身を責めていた。

藤野は自分自身を疑った。自分には心が無いのではないかと考えていた。

テレビを見ている時は何かしたいと考える。しかし、テレビ番組が終わってしばらくするとこの問題意識は薄らいでしまう。バラエティ番組に切り替わるとそれをみて楽しんでしまう。翌日には友達と酒を飲んで楽しんでしまっている。学校の課題に意識がいってしまう。このような自分自身に藤野は問題を覚えた。

特に今回みた映像はサッカースタジアムのシーンだった。藤野自身、小学校時代からサッカーを続けてきた。趣味程度ではあるが、他のどんなスポーツよりもサッカーが好きだったしずっと続けてきたスポーツだった。

『ある日突然、サッカーが禁止されたとしたら、自分はどう感じるだろう?』

藤野は考えた。

『自分がグラウンドでサッカーボールを追いかけている時、地雷を踏まないかと心配しなくていい。スタジアムで応援している時、空を見上げては爆弾が落ちてこないかと心配しなくてもいい。こういう日本では当たり前の事も世界の他の所では当たり前では無い事がある。当たり前のことが実はとても幸せなことなのではないか』 

サッカーという共通項から自分が置かれている状況とアフガニスタンの人達が置かれている状況を彼は比較した。そのことにより、初めてアフガニスタンの人達の心境がより自分の身近なものとして理解できたのだ。そして、自分自身何かしなくてはいけないと強く思いはじめていた。

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