頑張る人の物語

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第13回 『 アフガンプロジェクトは誰に対して価値があるのか?

 しかし、藤野が嬉しかった理由は長倉に認められたからだけではなかった。実はこの頃、藤野達の下に多くの批判メールや電話がかかってきていたのだ。それはあるメディアが藤野の携帯番号を載せてアフガンプロジェクトの事を世界中に報じたことで加速された。

 記事の内容自体はアフガンプロジェクトに対して肯定的なものであったし、基本的に他のメディアもアフガンプロジェクトを応援する内容だった。しかし、トリニダードトバコ、ブラジル、イギリス、そして日本各地からアフガンプロジェクトへの批判の声が寄せられた。

 『  Are you crazy.  』

『アフガニスタンには戦争しかない。この活動には意義が見出せない』

『実現できっこないだろ』

 という意見や中には

『バーカ』

『調子のってんな』

とワン切りする人までいた。

メールアドレス2つが潰され、アフガンプロジェクトのホームページはハッカーに侵入されもした。

多少冷静に批判をしてくる人もいた。

『今、アフガニスタンで望まれていることは何だと思う?食料や医療品ではないのだろうか?君達が同じ活動をするなら、何故そうしたことをしないのか?』

僕自身が最初、アフガンプロジェクトの企画書を見た際に感じた事だった。もちろん、好意的にアフガンプロジェクトを応援したいという人もいた。しかし、このような意見も多く寄せられていたのだ。

こうした意見に対して、藤野達は答えていた


「確かにその意見はごもっともです。ただ、人にはそれぞれやれる事があると思います。実際にサッカーをアフガニスタンに届けたからといって、彼らが喜ぶかは分かりません。

ただ、僕は喜んでもらえると思うし、価値があると思う。現地にいってそれを確かめてきます。そして、報告させてください」

今では僕もこの意見に賛成だ。実際に食料や医療品は国連やユニセフなどが届けている。もちろん、その絶対量が不足している事は事実かもしれないし、他にもまだ行き届いていないものがあるかもしれない。

しかし、それを藤野達が行った所で国連の行う1%にも満たないだろう。逆に悪影響を与えることだってあり得る。

国連、ユニセフは食料や医療でアフガニスタンを復興する。藤野達はサッカーでアフガニスタンを復興する。それぞれが得意分野で現地のニーズを満たせていった方がいいのではないか、こう思うのだ。

いずれにせよ、この時期、藤野達は多少困っていた。電話に出るのが怖くなった時もあった。しかし、こうした中で現地を見てきた長倉が「本当に子供たちが喜ぶだろうね」と言ってくれたことは大きな励みになった。長倉はその当時出版した自分の写真集にサインをして藤野に渡した。

『アフガンでボールを蹴れる日がくることを祈っています 楽しみにしています』

藤野の心が震えた。

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