頑張る人の物語

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第18回 『 アフガニスタン入国!!

 空港につくと、機内が歓声につつまれた。同じ機に乗っていた人達は皆帰郷を喜んでいた。藤野達も何度も頭に思い描いていた場所に降り立つことができて非常に嬉しかった。

飛行機からおりると、外にはヘリコプターの残骸があり、被弾した地面がそのまま残っていた。空港もとても想像出来ない位荒れ果てており、砲撃の後がまだ修復されていなかった。

 いざ、アフガニスタンに入ろうと税関を通ろうとした時、『ビザは?』と止められた。ビザが無いと入れないというのだ。

 実際に日本でアフガニスタンへ入るビザを取るのは不可能だった。また、現地に行ってからどうにかなると聞いていたので、これにはさすがに困った。ここまで来て、入れないなんてと途方にくれていた際に、ある人が声をかけてきた。

 「良太君」

 それは、長倉洋海だった。長倉は既にアフガニスタン入りをして彼の取材を行っていた。藤野達が到着する頃だと思い、空港に迎えにきていたのだ。 4 月に電話などでやりとりをしたローズべも一緒だった。

 長倉とローズベが空港担当者に話をつけてくれ、 4 人は無事にアフガニスタン入りをすることができた。藤野と長倉は手を握り合った。そして、藤野とローズベはお互いを堅く抱きしめあった。

“Nice to see you”

 今まで、電話やメールでやりとりをしていたので初めてとは思えなかったが実際に二人が会ったのはこの時が初めてだった。ローズベと藤野はこの後、無二の親友になりその親交は今でも続いている。二人はお互いをじっと見詰め合った。

 空港からは車で移動をした。現地に住むシュライブが運転手を務めてくれた。バンの中ではテクノが流れていて、少し藤野達は驚かされたがアフガニスタンへ入った時の緊張感と実際に初めて会うアフガニスタンの人達と同じ空間に居合わせる事で何を話せばいいのかが分からなかった。

 ローズベが場を盛り上げてくれた。少しお茶目な彼は冗談を言ったり、日本の事を聞いてきたりとその場が打ち解けるのに一役買ってくれたのだ。このおかげで、藤野達もコミュニケーションがスムーズに図れるようになった。

 初日は忙しかった。外務省や各省庁を回った。カブール市内に入った時は街の様子に驚かされた。ものすごく発達していたのだ。

 高いビルはあるし、タクシーやバスも走っている。藤野が住んでいる所よりも都会だった。ボロボロで砂埃が舞うような所をイメージしていたし、テレビではそのような場面が報道されていた。しかし、実際には全く違う情景が入ってきたのだ。

 「見たらビックリするよ」

 準備段階で入国した鈴木が電話越しに言っていたことを思い出した。確かにこれは衝撃的だった。

 初日はこの他、ボールや機材を保管してくれていたNGOのJENの現地事務所を訪れたり、今まで現地とのやりとりを協力してくれた現地記者の安井に会いに行ったりとあわただしかった。

 アフガニスタンには街灯が無い。夜は暗かった。月が綺麗で思わず見とれてしまった。実はこの日、アフガニスタンには衛星の電波が届いておらず、W杯の生放送が出来ないのではないかという話を聞いた。

 「何が待っているのだろう」

 

藤野は期待と不安に包まれていた。 

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