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第1回 『 レーシングドライバー中野信治

  一周2.5マイルのサーキットを時速400キロを超えるスピードでマシンが走り抜ける。スタンドから観戦をすればもちろんだが、テレビ画面を通じて観戦をしているだけでもそのスピード感は伝わってくる。

 レーシングドライバーは必死だ。レースによっては休憩無しで2時間半以上も走り続ける。スピードが出ているから気持ちいいかといえばそんなことは全く無い。

  レース中、マシンのコックピットの中はは50℃程まで上がる。喉が渇き給水をしようにも車内のマシンの中に詰まれた350mlのドリンクボトルは既にお湯のような熱さになってしまっている。息が切れ、意識も少し朦朧としてくる。心拍数は170を常時超え、その運動量、緊張感たるや想像を絶するものがある。その運動量はフルマラソン42.195キロ分に匹敵するという。

 こうした環境下で、常に意識を集中し、次のコーナーそしてゴールまでの道筋を描き続けなくてはいけない。そして、体をそれに合わせていかなくてはならない。走行中に減っていくエンジンの重さ、磨り減っていくタイヤのブレーキの効きの変化、マシンの状態、自らのコンディションなどを全て考えてマシンを操作し続けていく。2時間以上を、である。時速300キロ以上のスピードが常に出ているので、数センチの判断ミスが命を落とす事故にもつながりかねない。

 このようにレースには危険を伴うが故に「モータースポーツは野蛮なスポーツだ」という意見もあるが、モータースポーツが無ければ今日のような車社会は存在しえなかった。

  もともと、モータースポーツは技術革新のために行われた。究極のコンディションでテスト走行ができる環境、それがサーキット場だった。マシンの精度極限の状態で走り続けるレーシングドライバー、そしてそのマシンを整備するメカニック達。そこに感動があり、ドラマがある。

 インディとはそうしたモータースポーツの中でも世界トップレベルのレースだ。そして、このインディレースの世界1に現在挑んでいるのが中野信治だ。

 中野信治はF1、CARTなど様々なモータースポーツにおいて世界のトップカテゴリーで戦い続けてきた。16歳の頃には香港で開催された国際カートGPにおいて日本人初優勝・大会最年少記録に輝いたり、日本人では数人しかいないF1フル参戦などを果たしていたりと日本ではもちろんのこと世界でもトップレベルのレーシングドライバーだ。

 2003年1月。そんな彼が悩んでいた

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