頑張る人の物語

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第12回 『 F1デビュー

 こうした状況の中で、中野は好成績をおさめていった。1位にこそはなれなかったが、常に僅差で2位にはつけていた。勝てそうで勝てなかった。だが、この当時「日本でやったら絶対に勝てる」という自信が徐々に芽生えていった。次の年もやったら全部勝つことだってできる。このように考えられるようになっていた。

 もちろん、中野は自信過剰になった訳ではない。彼には徐々に分かってきた。レースでの勝ち方が。サーキット場のコースを頭の中で思い浮かべ、何周したらエンジンが何キロ分軽くなるから、カーブは何メートル前で曲がり始める・・・と細かいレースのシミュレーションが常にできるようになっていた。

 知り尽くしたサーキット場、そして知り尽くした競合。過信ではなく実力として中野は勝利を信じていた。そして、思っていた。「やはり世界で戦いたい」と。

 丁度この時、F1に参戦しないかという話が来た。オーディションテストにおいても素晴らしい記録で走りきり、語学力もイギリス時代の経験が活き、難なくクリアした。F1へ参戦する事が決まり、さらにプロストのチームに属することに決まった。

 プロスト、レース好きの多くの人が知っている名前だ。フランス人のプロストは当時のワールドチャンピオンその人だ。レーシングドライバーとしては引退をし、自らチームを持ってその運営にあたっていた。株式会社無限がエンジンを提供し、ホンダがマシンを提供するといった形で「プロスト無限ホンダ」というチーム名で中野はF1デビューをすることとなった。

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