頑張る人の物語

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第9回 『 ACTのやり方

2002年5月に、僕はリクルート社の協力のもと、学生団体を企画の社会性、企画立案力・行動力、メンバー間での意思の共有度合いなどを評価し、優れている団体に20万円の協賛金を提供するという企画コンペティションを開催した。

 多くの団体が参加し、もちろんACTも参加した。参加した団体はいずれもが素晴らしいものだった。活動の内容としても面白かった。また、パワーポイントを駆使してプレゼンテーションを行う姿は社会人顔負けという団体もいくつかあった。

 ACTのプレゼンテーションの番になった。

 ほかの団体はプレゼンテーターが2人ほど前に出てくるのが普通だったが、ACTのときは会場に応援に来た10人位のメンバー全員が前に立った。車椅子に乗っている人が2人混じっている。プロジェクターなどを使う様子は一切ない。

 みんなが何をするのか、期待をしながらその第一声を待っていた。

 「ヤーーーーーーーーーーーー!!ACTで~~~~す」

 柴田の声が会場に響いた。会場は一瞬静まり返った。そしてその直後、会場にいた人が一斉に吹き出した。

 時間を少し戻す。この企画コンペティションに参加するにあたっての会議がACTメンバーの間で開かれた。当時、まだ協賛金などは集まっていなかった。20万円という賞金は喉から手が出るほど欲しかった。基本的に参加団体はパワーポイントを使ってプレゼンテーション用資料を作ることはわかっていた。

 実は僕はこの企画コンペティションを主催しながら、ACTがしっかりとしたプレゼンテーション資料を作ったら優勝するなと思っていた。審査基準なども主催者である僕が作成したが、それと照らし合わせてもほかの申込み団体と比べて優れている点が多かった。当日の発表に僕は期待していた。

 ACTのメンバーたちは打合せを続ける。「ちゃんとした資料を作って臨もう」という意見が最初は大勢だった。しかし、パワーポイントでプレゼンテーション資料を作って発表するというのは何かACTらしくない。みんなそう思いはじめていた。何かもっと心で伝えられないか。

 とはいえ、障害者のためにやっていて素晴らしいなどという見え方はされたくない。ACTメンバーが出した答えは一つだった。

『笑わせたら勝ちだ!』

 事前の打合せでは、メンバーみんなが前に出て、まずはダチョウ倶楽部のように「ヤー!」とやろうということになった。とにかくここで笑わせる。そういう結論になった。

 当日、柴田の声が響いた。そして、ほかのメンバーは少しタイミングを逃してしまった。柴田の声、そしてほかのメンバーのズレに会場は一瞬静まり返り、そして吹き出したのだった。

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