頑張る人の物語

> 柴田彰の一覧へ

第15回 『 徹の異変

 8月10日、スタートしてから22日目のことだった。ある事件が起こった。事件は今までにも起きていたが、今回の事件はとりわけ大きなものだった。石川が入院をしたのだ。

 その日、泊まる場所はなく野宿が決定していた。夜、テントを張ってACTメンバーは二手に分かれた。夕食を食べにいくチームと荷物番兼公園の水道をシャワー代わりにして体を洗うチームだった。

 石川は前者、柴田は後者のチームだった。体を洗い終え、テントの中でくつろいでいたときだ。柴田の携帯が鳴った。

 「徹がおかしい」

 メンバーからの電話だった。急いで石川のもとに向かうと、夕食を食べられないで苦しんでいる石川がいた。

 思い当たる節は二つあった。

その二日前、8月8日に兵庫県は宍栗郡において石川はキャニオニングに挑戦した。キャニオニングとは簡単に言えば川下りのことだ。筋ジストロフィーでこのキャニオニングに挑戦する人は初めてだ、もしかしたら世界初かもしれない。そう地元の人は言っていた。石川はとても楽しそうだった。

 また、数日前から自転車だけの旅に飽き、徒歩で移動してみることにした。もちろん、石川は車椅子だ。しかし、ペースの違いに多少気を遣ってしまっていたようだった。

 いずれにせよ、石川は具合が悪そうだった。テントや必要物資の搬送に使っていたACT号というバンがあった。柴田がこれを運転し、石川を乗せて近くの病院までいった。赤穂市民病院という所だった。

 病院へ向かう途中、最初は石川は冗談を言えるほどの活力はあった。しかし、次第に話もできなくなり、車椅子の上の自分の体も支えられないほどになった。車内から携帯で石川の病状を伝えていたこともあり、すぐに石川は処置室に入れられた。心電図やレントゲン、その他さまざまな検査がすぐに行われた。また、箱根にいる石川の主治医とも連絡をしあった。

次へ>>

  • GRNKI式トップページ
  • プロフィール
  • GENKI式ブログ
  • 頑張る人の物語
  • 取材・講演依頼