頑張る人の物語

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第9回 『 日本で感じた違和感

 こうして、授業と部活とバイトという普通の日本の大学生活を過ごすことになった船橋だが、ある種の違和感を常に覚えていた。その違和感は周りの友達に対して向けられていたものだった。

 ブラジルでは、多くの友達が自分の夢を語っていた。政治の話や文化の話を皆がしていた。そして、そういう真面目な話をしたかと思えば恋愛の話やいやらしい話などをしていた。一人の人間が多くの考え方や視点を持っていたのだ。

 しかし、多くの日本の友達が違った。夢を語る人はいなかった。真剣になって政治の話をする人はいなかった。仮にいたとしてもそうした人達はその話しかしない。ふざけた人はふざけた話しかしない。真面目な人は真面目な話しかしない。

 最初はただみんながシャイなだけかと思った。自分の考えを話したがらないだけなのかなと思っていた。しかし、数ヶ月すると船橋は気がついた。ただ、『知らない』だけなのではないか。

色々な考え方や価値観があることを知らないだけなのではないか。知っていたとしてもそれは自分とは相容れない考え方や価値観としての意識で知っているだけであり、本当に深く理解できていないのではないか。

 この時に生じた問題意識、それが今の船橋の問題意識のベースとなっている。しかし、当時の船橋はまだ一人の大学生だった。問題意識は覚えても、それを解決するための行動には至らなかった。

それは、学費を払うためにバイトをする必要があったからだけではない。部活で忙しかったからだけではない。船橋自身がまだこの問題意識を完全に自分の意見として整理ができておらず、自分の言葉で語ることができなかったのだ。

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