頑張る人の物語

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第11回 『 自分はクズ

 「優しくて友達としてはいいんだけど、男性としての魅力が無い。何か深さが無いのよ」

 言い返すことができなかった。全てが図星だと思った。それまでの船橋は自分が無かった。親の意見に抵抗をしつつもいつしかその意見に染まっていた。様々な価値観に触れつつもその中に自分の価値観が無かった。“自分の軸”が無かったのだ。

 『自分は何なのか』。哲学や心理学、歴史の本などを読みあさって船橋は考えるようになった。そして、そうして悩んでいた船橋にさらなるショックが重なった。それは部活で生じた問題だった。

 船橋はアメフト部の副主将を務めていた。もともと、このアメフト部は封建的な部であり、年功序列が厳しく残っていた。こうした事が気に入らなかった船橋は多くの部の決まりごとを変えていった。

たとえば、4年生がグラウンドの掃除をするように変えるなど、目的の見えない年功序列制度を崩す新しい規則を作っていった。しかし、船橋が変えることが出来なかった規則が一つだけあった。それは、

 『怪我人はクズ』

 という文化だった。当時のアメフト部で怪我をして練習にも試合にも出られなくなることは忌み嫌われていた。常に体調管理をして怪我をしないように意識を高めておく。この意識の高まりがアメフト部を勝利に導くと考えられていた。しかし、船橋は4年の10月に怪我をしてしまった。

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